誤解から学ぶ緑内障

  実践その1 緑内障の見つけ方 ー眼底検査が大事ですー

  1. まとめ

    繰り返しになりますが、大事なことなので何度も言います。

    緑内障は改善させるのが難しい病気です。それゆえ出来るだけ早期に発見することが大事になります。しかし、緑内障の初期のうちは自覚に乏しく、かつ眼圧値でも発見できない。もちろん眼科で最も著名な「視力検査」でも発見できません。末期でも視力表さえ見つけることが出来れば 視力 ”1.0” が可能です。緑内障において視力が低下するのは末期よりもさらに進んだ最末期のみです。

    では、どうするか。

  2. まとめ

    緑内障の確定診断は「視野検査」でなされます。というわけで、一番確実なのは全員に「視野検査」を施行することです。が、視野検査の所要時間は、プログラムにより差がありますが、10分から30分。なかなか全員には施行できません。なにせ左図のような仰々しい機器が必要です。

    視野検査は必須です。しかし、全員施行は現実的ではない。出来れば緑内障が疑わしい人にのみ施行したい。では、視野検査を受けるべき緑内障が疑わしい人、受けなくても大丈夫な人を見分けることはできないものか。

  3. まとめ

    できます。「眼底」を見れば分かります。実は緑内障の主役である「視神経」が直接観察可能なのです。

    いわゆる「眼底検査」です。これなら短時間で完了しますし、仰々しい器械も必要ありません。図3のようなの、眼底を照らすライトとレンズがあれば観察可能です。これなら何処にでも持ち出せます。眼科に通院困難な方にでも施行できます。

  4. まとめ

    「視神経」についておさらいします。

    光はまず「網膜」で感じ取られ電気信号に変換、「視神経」に送られます。

  5. まとめ

    「視神経」はその後、眼球の出口に向かって放射状に集結、一本の束になり、眼球から飛び出し脳へ向かいます。

  6. まとめ

    この「視神経」が収束する部分を「視神経乳頭」と呼び、一本の束になった視神経の断面を反映しています。そして「視神経乳頭」は直接観察が可能です。

  7. まとめ

    さて、緑内障になるとどうなるか。図7のように視神経の束が一部欠落します。

  8. まとめ

    これにより、この視神経が担当していた部分の「視野」がぼんやりします。

  9. まとめ

    「欠落」した視神経の断面は図9のように直接観察できます。

    この欠落を確認すれば「緑内障確定」、、、

    となれば非常にシンプルで良いのですが、そうはならない事情があります。

  10. まとめ

    例えば、視神経乳頭の大きさ、つまり視神経の出口の大きさが違うとどうなるか。

    右3番のように視神経乳頭が大きな症例の場合。一見、神経が欠落したような所見が認められます。が、実は神経の数は真ん中2番と同じです。

    左1番のような視神経乳頭が小さな症例の場合。神経が詰まっていて欠落している部分はなく一見正常のようです、が実は神経の数が一番少ないのです。このように出口が小さい症例は、正常と間違われてしまうことがあります。

  11. まとめ

    また「視神経の欠損」と「緑内障性の視野変化」はリンクしません。実は「視神経の欠損(構造)」は「緑内障性の視野変化(機能)」に先行します。

  12. まとめ

    図12のグラフは、「視神経の数(構造)」と「視野の感度(機能)」の関係を表したものです。

    視神経が70%程度になってから「緑内障性の視野変化」が生じます。「構造(視神経)」と「機能(視野)」の関係にズレがあるのです。つまり、眼底検査で異常があっても視野検査は大丈夫、ということは往々にしてあります。

  13. まとめ

    この「視神経の欠損」が「緑内障性の視野変化」に先行している段階を「前視野緑内障」と呼び、治療の対象とすべきか否か、緑内障専門医の間でも議論になっています。個人的意見として、経過観察はもちろん必要ですが「前視野緑内障」に対する治療は必要ない、と思っています。

    緑内障は「気の長い」病気です。かつ「前視野緑内障」が全て「緑内障」に移行するとも限りません。点眼はいつでも開始できます。点眼開始を遅らせることにより諸々の負担を減らすことが出来ます。「負担」を減らすことにより生じるメリットの方が「前視野緑内障への治療」よりも大きいのでは、と考えております。

    神経の厚さを測定できる器械も存在します。OCT 光干渉断層計、というものです。

    光の反射を利用し、眼球、特に網膜の断面を観察することができる器械です。基本、網膜疾患の診断のために開発されたものですが、緑内障にも応用されています。

    ただし「神経の欠損」を評価するのみです。「緑内障性の視野変化」は判断できず、最終的な診断に「視野検査」はやはり必要です。小生のように「視野検査」を緑内障治療の判断材料としている者としては、必ずしも、必要な検査ではありません。

  14. まとめ

    緑内障発見の「キッカケ」を産み出す一番手軽で簡単な検査は「眼底検査」です。「眼底検査」は眼科医なら誰でもできる、いやこれが出来ないと眼科医とは言えない、それほど眼科医にとっては当たり前の検査です。

     緑内障以外の疾患で眼科を受診した際、この眼底検査で「緑内障」が見つかることがしばしばあります。緑内障発見の「キッカケ」の1つです。

  15. まとめ

    もっと手軽でかつ頻度が多いと思われる「キッカケ」があります。「人間ドック」等の検診で施行される「眼底写真」です。「眼底写真」は「眼底検査」とはほぼ同じです。その写真を後日眼科医が見て諸々診断します。「眼底写真」における「乳頭陥凹大」とは図9の「欠損」のこと、つまり「緑内障疑い」ということになります。

    人間ドック、検診は箕面市であれば「箕面市医療保健センター」にて実施されています。また、市中の一般病院でもほぼ実施されていると思われますので、手軽に受診できるのではと思います。他疾患の検診も可能ですので、そういった点でも有用かと思われます。

    緑内障の見つけるために、「眼底検査」は非常に有用と思われます。同じく、人間ドック等の検診での「眼底写真」もより手軽な「キッカケ」になり得ると思われます。

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